介護施設で起こる様々なハラスメントは、職員同士だけではなく、施設を利用してる利用者によって起こるケースもあります。
職員によるハラスメントは、施設の就業規約に基づいた改善策を講じることが出来ますが、施設の利用者に対しては有効ではありません。悪質な場合は、施設の利用拒否を通告することは出来ますが、強制力は無いので根本的な解決に至らない問題があります。
特に、認知症を患っている利用者については、施設の利用を拒否すると悪い評判が立ってしまうおそれがあることから、ハラスメントへの対処をおざなりに済ませてしまう傾向があります。また、ハラスメントの定義が明確でないことを理由に、事態を隠ぺいするのも業務を粗雑に行う介護施設にありがちなことです。
介護施設でのハラスメント対策は、職場の雰囲気が開放的であれば高い効果が得られます。逆に閉鎖的、排他的な雰囲気では、情報の共有が出来ないことから問題の解決が困難になるおそれがあります。
介護の仕事は、多忙で時間も不規則になりやすいことから離職率が高く、職員同士の連携が取りにくいので、情報の共有が難しいのが現状です。特に、施設利用者によるハラスメントがまん延している介護施設では、問題の解決に至る前に被害者の職員が辞めてしまうことが多く、ハラスメントの問題が放置される傾向があります。介護施設でハラスメントの被害に遭った場合、速やかに情報を施設全体で共有して事態の改善に臨むことが大切ですが、業務の多忙さや施設の姿勢が解決を遅らせているのが問題となっています。